Q & A -花の舞酒造編-

イベント中に視聴者の皆様からお寄せ頂いた質問と山口さんからのお返事です。
時間の都合上詳しく説明できなかった質問にも大ボリュームのお返事を頂きました!
※イベントに参加していない方にも話が分かりやすくなるよう、一部編集させていただいております。

 

①山口の獺祭や宮城の勝山のような海外向けマーケティングはしていますか?

主に中国やアメリカに輸出をさせて頂いております。
中国は梅酒やちょびっと乾杯等のリキュール系がメインでして、
アメリカは「日本刀」(かたな)という超辛口の純米酒を輸出しております。
「日本刀」はアメリカからの逆輸入という形で日本国内の飲食店様でお飲みになる事ができます。
アメリカ用は裏ラベルが英語、日本国内は英語と日本語で記述されています。

②麹の部屋の温度はどうやって管理してるんですか?

麹室は機械制御で室温と湿度をコントールできますが、
外気にも大きく左右されますので、室の中にある扉の開け具合を調節してコントロールしています。
手入れ作業をする時に入口の扉を全開にして湿度を逃がすという手法もあります。
機械制御だけではなく、季節毎の自然の力も利用しています。

③(醪の)アルコール度数は完成品と同じですか?

搾り直前の醪と完成品(搾られてきたばかりの段階)の酒の度数は、個体差もありますが多少上昇します。
普段の醪のアルコール分析は、ロートという器具で採取して分析をするのですが、採取する場所が醪の上部です。
最終的には全体が混ざった状態になりますので、アルコール度数も事前の分析よりも多少高くなります。
また搾っている最中も発酵は進みますので、そこでも上昇する可能性があります。

④二種類のお酒に合うつまみの違いを教えてください。

2種類の合わせ方のポイントについて解説致します。

・本店限定純米吟醸生原酒
一般的な純米吟醸より、米の香りや味わいのニュアンスがハッキリしている点と、
静岡酵母由来の青いバナナやプリンスメロンの香りが後から穏やかに追いかけてきます。
生原酒ですので力強さがありますが、酒造好適米の静岡県産山田錦を使用し、
かつ55%まで磨いているので、純粋な米の甘旨味を感じられます。
低温でじっくりと発酵させる「吟醸造り」という技法を取り入れているので、
尖った酸や後味が悪い苦み・渋みは無く、ジューシーな味わいを引き出しています。
料理と合わせるべきポイントは、米の甘旨味と穏やかなフルーツの香りです。
淡泊過ぎる料理や味の濃すぎる料理とは相性はあまり良くないです。
今回は「豚冷しゃぶ」と合わせるペアリングをご提案しましたが、
意味合いとしましては、豚肉の甘旨味を酒のそれと合わせ同調させるのが狙いです。
肉の質感も生原酒の力強い骨格と合いますし、薬味のポン酢がさらに互いの甘旨味を引き出します。
そこへフルーツの穏やかな香りを乗せると、料理へアクセントを与えられます。
蒸米の香りも存在するので、豚肉の香りともマッチします。
洋食にアレンジするならば、ポークソテーにマスタードクリームソースをかけたものと合わせても良いでしょう。
純米吟醸は米由来のクリーミーさがあるのでクリームソースとマッチしますし、
酒のジューシーな旨味が料理にコクを与えます。
マスタードの酸味が酒の味わいをも引き上げるのもこのペアリングの魅力です。
酒の温度も前者は冷やして、後者は少し温度を上げるとより相性が良くなります。
このように本店限定純米吟醸生原酒は素材の味わいをシンプルに活かしたい料理と合わせるのをおススメ致します。

・大吟醸生原酒
こちらのお酒の特徴としましては、純米吟醸と使用米は同じですが違う点が2つあります。
まず1つは純米吟醸よりもさらに磨いた45%精米の米を使用している点です。
米を外側から55%磨いているので、より米の上品な甘さを感じられます。
2つ目は醸造用アルコールを添加している点です。
醸造用アルコールと聞くと悪いイメージがあるかと思いますが、
酒の香りを引き立て、味わいを整える役割がございます。
さらに大吟醸ともなると添加量も少なく、米の甘さを艶やかに引き立て、スマートで軽やかな味わいになります。
香りも純米吟醸には無かった、柑橘系やハーブ等のさわやかな香りも存在します。
今回は「白身魚の幽庵焼き」とのペアリングをご提案致しました。
白身魚の上品な身質と素朴な甘さを、大吟醸の優しく柔らかな甘さがそれを包み込みます。
そこへ酒の持つ柑橘やハーブを思わせる香りが、アクセントを与えます。
また、幽庵焼きの幽庵地に柚子やカボスを使っているので酒の香りとも合います。
他の合わせ方ですと、淡泊な白身魚の薄造りもおススメです。
大吟醸生原酒は、香りがあり繊細かつ滑らかな味わいなので合わせる料理も柔らかな質感と合わせ、
同じような香りあるものと合わせると、互いの香味を増長させることができます。

⑤蔵の見学は1年中可能ですか?

蔵見学は1/1~1/3はお休みですが、それ以外は受付しております。
9名様以下は予約不要です。当日お越しください。
開店時間:10:00~18:00
酒蔵見学無料 試飲無料 駐車場無料です。
新型コロナウィルス感染予防対策として、本店入口にて検温、アルコールによる手指消毒、店舗内でのマスクの着用をお願いしております。

⑥日本酒の楽しみの一つとして季節感があるのですが、
その違いはどの段階で生み出されるのでしょうか?

捉え方は色々とあると思います。例えばお客様目線ですと、冬には新酒、秋にはひやおろし。
飲み方ですと、夏は冷酒、冬から春先に燗酒と多岐に渡ると思いますが、今回は造り手の目線でお話させて頂きます。
結論から申し上げますと、日本酒は同じ貯蔵タンクでも季節によって味わいが変わります。
酒造りが始まるのは基本冬に入る前からですが、その時に出来上がった新酒は、
若さ溢れるクリーンでしなやかな味わいで、香りもフレッシュなハーブや新緑等、イキイキとしていて、
春・夏・秋と時間を経ていく毎に落ち着いた姿に変わっていき、深みのある味わいへと変化していきます。
まるで人が成長するかのように成熟していきます。
なぜこのような事が起こるのかというと、酒の造り方になります。
最終的な熟成による味わいをイメージし、最初はクリーンでフレッシュな味わいにして、
酒自身に変化を遂げさせていきます。

また同じ酒でも造られた時期によっても変わってきます。
冬に作られた酒は酸も低く軽やかな印象ですが、仕込み終わりの温かい時期に造られた酒はある程度の酸があり、
しっかりとしたボディを感じられる様になります。
これはその時の気温や湿度が影響しており、米の蒸具合や醪の温度等に直接影響をしてきます。
自然の力は大きなもので、いくら機械があるからといっても流れに逆らうことはできません。
造り手として出来ることは、その時に与えられた環境の中で以下に健全に醪を発酵させる事ができるかです。
その時々で醪にとって過ごしやすい環境を創り出してあげられるかで可否が決まってきます。
酒質によって味わいの舵は取りますが、季節の流れに乗れるかでその時一番の味を引き出せると思います。
まとめますと、季節感を生み出すというよりかは、その造りの時期の季節の流れに乗り、
蒸米や醪の状態を見極め、最適な味わいを引き出せるかだと思います。

山口さん、ありがとうございました!